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飛行機アナウンスの隠語一覧|アームド・呼び出し・着陸やり直しの意味

飛行機に乗ると、意味の分からない言葉が流れてきます。

「業務連絡です。客室乗務員はドアモードをアームドに変更してください」——アームド。武装。初めて聞いたとき、何のことか分からず不安になった方もいるはずです。

この記事では、空港と機内で実際に流れるアナウンスが何を意味しているのかを、航空会社や国土交通省が公表している情報をもとにまとめました。

あわせて、ネット上で「CAの隠語」として語られているが、裏付けが取れなかったものについても、そのまま正直に書いています。

空港・機内アナウンスの言い換え一覧|文言と実際に起きていること

先に一覧を載せます。詳しくは各項目で解説します。

アナウンスの文言実際に起きていること
業務連絡です。ドアモードをアームドに変更してください脱出スライドを作動可能な状態にした。まもなく離陸する
ドアモードをディスアームドに変更してください脱出スライドを解除した。まもなくドアが開く
お呼び出しいたします。〇〇様多くは搭乗手続きや保安検査の締め切りが迫っている
ただいま着陸をやり直しておりますゴーアラウンド(着陸復行)。着陸をやめて上昇した
〇〇空港へ着陸いたします(目的地と違う)ダイバート(目的地変更)。予定の空港に降りられなかった
お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか機内で急病人が出ている

「ドアモードをアームドに変更」の意味|離陸前に必ず流れる

出発前に必ず流れるのがこのアナウンスです。JALでは「業務連絡です。客室乗務員は、ドアモードをアームドに変更し、相互確認を行なってください」、ANAでも同様の文言が使われています。

アームドとディスアームドの違い

アームド(Armed)は「緊急脱出用のスライドを、作動する状態にセットした」という意味です。

この状態でドアを開けると、脱出スライドが自動的に展開します。非常時に一秒でも早く降りられるようにするための設定です。

反対にディスアームド(Disarmed)は、その設定を解除した状態です。到着してドアを開けるときは、スライドが飛び出しては困るので、必ずこちらに戻します。

つまり乗客にとっては、こう聞き分けられます。

  • アームドに変更 → まもなく動き出す・離陸する
  • ディスアームドに変更 → 到着した。まもなくドアが開く

なぜ乗客に聞こえる形で流すのか

「業務連絡です」と前置きされているとおり、これは本来、乗務員どうしの確認です。それをあえて機内放送で流すのは、全員が同じタイミングで、間違いなく作業したことを確認するためと説明されています。

スライドの設定を間違えると、到着時にドアを開けた瞬間にスライドが展開してしまいます。誤って展開させると、その機体はその後の便に使えなくなります。だから声に出し、相互に確認しています。

不穏な言葉に聞こえますが、むしろ厳格に手順を踏んでいる証拠です。

旅客機のドアと脱出スライドの仕組みについては、JALが公式に解説しています。

旅客機のドアの仕組み(JAL)

空港で名前を呼ばれる「お呼び出しいたします」の意味

「お呼び出しいたします。〇〇様、〇〇航空のカウンターまでお越しください」——自分の名前が呼ばれたら、何事かと思います。

呼び出しの多くは、締め切りが迫っているだけ

グランドスタッフの経験者による解説では、呼び出しの理由でもっとも多いのは搭乗に関することとされています。

  • チェックイン(搭乗手続き)の締め切りが近い
  • 保安検査場の締め切りが近い
  • 搭乗口の締め切りが近いのに、周囲に姿が見えない

出発の10〜20分前に呼ばれることが多いといわれます。悪い知らせであることは、実際にはあまり多くありません。

呼ばれたらどうすればいいか

すぐに近くのスタッフに声をかけるのが最短です。カウンターまで戻るより、目の前の係員に「呼び出されました」と伝えるほうが早く解決します。

保安検査場を通過したあとに呼ばれた場合は、搭乗口へ向かいながら近くのスタッフに声をかけてください。引き返すと間に合わなくなります。

「ただいま着陸をやり直しております」|ゴーアラウンドの意味

着陸直前に急に上昇し、このアナウンスが流れることがあります。ゴーアラウンド(着陸復行)と呼ばれる操作です。

着陸をやり直す主な理由

パイロットが「安全に着陸できない」と判断したときに行われます。主な理由は3つです。

  • 天候——視界不良、突風、風向きの急変
  • 滑走路側の事情——前の機体がまだ滑走路上にいる、滑走路の点検や一時閉鎖
  • 機体側の事情——進入の姿勢が乱れた

これは危険な状態なのか

危険を避けるための操作です。「危ないから中止した」のであって、「危ない状態に入った」わけではありません。

着陸のやり直しは、あらかじめ手順が決められた通常の操作として訓練されています。急上昇でGがかかるので驚きますが、異常事態ではありません。

天候によって進入の経路が変わることについては、国土交通省が説明を公開しています。

飛行機がいつもと違う場所を飛んでいるのはどうしてでしょうか(国土交通省)

目的地と違う空港に降りる「ダイバート」

やり直しても着陸できない場合、別の空港へ向かうことがあります。これをダイバート(目的地変更)と呼びます。

天候の回復を待って燃料に余裕がなくなる前に、確実に降りられる空港へ向かう判断です。目的地に着かないのは大きな不便ですが、これも安全を優先した結果です。

ダイバート後の移動や宿泊の扱いは航空会社や理由によって異なります。機内でアナウンスされる案内に従うのが確実です。

「お客様の中にお医者様は」を最近あまり聞かない理由

ドラマでおなじみのこのアナウンスですが、実際に耳にする機会は減りつつあります。

そもそも滅多に起きない

機内で急病人が発生する頻度は、国内線で数百〜数千便に1回、長距離の国際線でも数百便に1回程度とされています。何度飛行機に乗っても遭遇しない人がほとんどです。

呼びかけずに済む仕組みができた

減っている理由は、医師をあらかじめ登録しておく制度がJALとANAの双方に導入されたためです。

登録した医師が搭乗していると、客室乗務員はその座席を把握しています。急病人が出たときは放送で呼びかけるのではなく、その医師に直接声をかけます。

この仕組みには2つの利点があります。

  • 医師が名乗り出るのを待たずに済むため、対応が早い
  • 他の乗客に不安を与えない

医師を対象にした意識調査では、日本の航空機内で3〜4割のケースは医師の応招がなかったという報告もありました。呼びかけても誰も手を挙げないことは、実際に起きていたことになります。

放送が流れないからといって、何も起きていないとは限りません。静かに対応が進んでいることがあります。

裏付けが取れなかった「CAの隠語」について

ここは正直に書きます。

ネット上の情報を採用しなかった理由

「CAの隠語」を検索すると、迷惑な乗客を指すコードネームのような話が数多く出てきます。元客室乗務員によるSNS投稿や、それを引用したメディア記事が中心です。

この記事では、それらを一覧に載せませんでした。理由は3つです。

  • 出どころが個人の証言のみで、航空会社が認めたものではない
  • 会社によって用語が違うとされ、どこまで一般的なのか確認できない
  • そもそも乗客の耳に入らない。乗客が聞くことのない言葉は、この記事の目的から外れる

わかっていること、わからないこと

わかっていること——航空業界に専門用語が多いことは事実です。無線の聞き間違いを防ぐフォネティックコード(アルファ、ブラボー…)のように、公にされている用語体系もあります。

わからないこと——乗客を指す隠語が実在するのか、どの会社でどこまで使われているのか。裏が取れませんでした。断定できないので、断定しません。

なぜ航空会社は言い換えるのか

電車の遅延アナウンスと同じで、理由は主に3つと考えられます。

1. 正確に言い切れないから。その時点では原因が確定していないことがあります。「着陸をやり直しております」としか言えない段階は実際にあります。

2. 不安を広げないため。密閉された空間で細部まで説明すると、かえって混乱を招きます。

3. 業務上の手順だから。ドアモードのアナウンスのように、そもそも乗客向けではないものもあります。聞こえてはいますが、宛先は乗務員です。

電車の場合も同じ構造でした。詳しくはこちらにまとめています。

電車アナウンスの隠語一覧|お客様救護・業務連絡の意味

飛行機のアナウンスに関するよくある質問

アームドとはどういう意味ですか

緊急脱出用のスライドを、作動する状態にセットしたという意味です。この状態でドアを開けるとスライドが展開します。離陸前に設定します。

空港で名前を呼ばれるのはなぜですか

もっとも多いのは搭乗手続き・保安検査・搭乗口の締め切りが迫っているケースです。出発の10〜20分前に呼ばれることが多いとされます。近くのスタッフにすぐ声をかけてください。

着陸をやり直すのは危険ですか

危険を避けるための操作です。手順が決められた通常の操作として訓練されています。「危ない状態に入った」のではなく「危ないので中止した」と考えてください。

ドクターコールを聞かなくなったのはなぜですか

医師をあらかじめ登録しておく制度が導入され、放送で呼びかけず、登録した医師に直接声をかけるようになったためです。急病人の発生自体も、もともと稀です。

機内で急病人が出たら乗客は何をすればいいですか

医療の心得がある方は名乗り出ることが助けになります。それ以外の方は、通路を空け、座席で待つのが最も協力になります。人が集まると対応が遅れます。

まとめ|わかったこと・わからなかったこと

確認できたこと

  • アームド/ディスアームドは脱出スライドの設定。乗客には離着陸の合図になる
  • 空港の呼び出しは、多くが締め切りの案内。悪い知らせとは限らない
  • 着陸のやり直しは危険回避の通常操作。異常事態ではない
  • ドクターコールが減ったのは、医師の事前登録制度が広がったため

確認できなかったこと

  • 乗客を指す「CAの隠語」が実在するのか、どの範囲で使われているのか

飛行機のアナウンスは、聞き慣れないだけで隠しているわけではありません。意味が分かると、同じ言葉が不安ではなく手順として聞こえてきます。

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