「副業を始めたいけど、会社にバレるのが心配…」
「マイナンバー制度が始まったから、もう隠れて副業なんてできないのかな?」
もしかしたら、あなたもそんな風に感じて、一歩踏み出すのをためらっているかもしれませんね。新しいことに挑戦したい気持ちと、今の安定を失いたくない気持ちの間で揺れ動くのは、とてもよく分かります。
特に「マイナンバー」という言葉を聞くと、なんだか全てが筒抜けになってしまうような、そんな漠然とした不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
でも、ご安心ください。
この記事では、「副業とマイナンバー」の関係性について、多くの方が抱える疑問や不安を解消できるよう、分かりやすく、そして丁寧に解説していきます。マイナンバーが副業にどう関係するのか、そして本当に会社にバレる原因は何なのかを正しく理解すれば、きっとあなたのモヤモヤも晴れて、安心して新しい一歩を踏み出せるはずです。
一緒に、副業に関する正しい知識を身につけていきましょう!
1. 「副業がマイナンバーでバレる」って本当?結論から言えば…
まず、多くの方が一番知りたいであろう、この疑問への結論からお伝えします。
「マイナンバー自体が、あなたの副業を直接会社にバラすことはありません。」
え、そうなの?と意外に思った方もいるかもしれませんね。
「マイナンバーは個人の収入を国が管理するためのものだから、当然副業もバレるでしょ?」
そう考えてしまう気持ちはよく分かります。実際、マイナンバー制度が導入された際、私たち国民は「これからは全ての情報が国に集約され、隠し事ができなくなる」といった印象を少なからず受けたからです。
しかし、マイナンバーはあくまで、社会保障、税、災害対策の分野で、複数の機関に存在する個人の情報を効率的に管理し、行政手続きをスムーズに行うための「個人識別番号」です。会社が従業員のマイナンバーを提出するのは、年末調整や社会保険の手続きのためであり、副業の有無を監視する目的ではありません。
では、なぜ「副業がマイナンバーでバレる」という話がまことしやかに囁かれるのでしょうか?
その誤解の背景には、マイナンバー制度が税金や社会保障の手続きと密接に関わっていることからくる、複雑な情報とイメージが影響していると考えられます。マイナンバーそのものが、直接あなたの副業の情報を会社に伝えることはない、という点をまずはしっかり覚えておきましょう。
2. なぜ「マイナンバーで副業がバレる」と言われるのか?誤解の原因を解説
マイナンバーが副業を直接会社にバラすわけではないのに、なぜ多くの人がそう信じてしまうのでしょうか。その誤解が生まれる原因を、いくつか掘り下げてみましょう。
マイナンバーの役割への誤解
マイナンバー制度は、行政手続きを効率化するためのものです。具体的には、税務署や市区町村役場、年金事務所、ハローワークなどが、あなたのマイナンバーを使って情報を照合し、手続きをスムーズに進めます。
例えば、あなたが確定申告をする際、申告書にマイナンバーを記載しますよね。これは、税務署があなたの所得情報を正確に把握するために必要な情報です。しかし、この情報が「会社に直接通知される」わけではありません。税務署が会社に「〇〇さんは副業でこれだけ稼いでいますよ」と連絡することはないのです。
マイナンバーは、例えるなら、図書館の貸し出しカードのようなものです。図書館(税務署や役所など)は、そのカード(マイナンバー)を使ってあなたの貸し出し履歴(所得情報)を管理しますが、図書館があなたの会社に「〇〇さんはこんな本を読んでいます」と連絡することはありませんよね。それと同じイメージです。
情報連携のイメージが先行
マイナンバー制度の導入により、各行政機関の間で情報連携が強化されました。この「情報連携」という言葉が、「国の機関があなたの情報をすべて共有し、会社にも筒抜けになる」という不安なイメージにつながりやすいのです。
確かに、税務署と市区町村役場の間では、税金に関する情報が連携されます。これは、住民税の計算に必要な情報だからです。しかし、その連携された情報が、あなたの勤務先の会社に「副業の有無」として直接伝わることは、基本的にはありません。
あくまで、行政機関内での効率的な事務処理が目的であり、プライバシーを侵害して個人情報を第三者(この場合は会社)に通知することは、原則として行われないのです。
副業がバレる本当の原因と混同している
実は、副業が会社にバレる原因は、マイナンバーとは別のところにあります。しかし、マイナンバー制度が新しく導入されたことで、人々はその新しい制度が副業バレの原因になるのではないか、と誤解しやすくなっているのです。
多くの人が漠然とした不安を抱えるのは、やはり「知らないこと」や「複雑なこと」に対してです。マイナンバー制度もその一つで、その仕組みを正しく理解しないまま、「何となく怖い」「バレそう」という感情が先行してしまうケースが多いと言えるでしょう。
でも大丈夫です。この後で、本当に副業が会社にバレる仕組みと、その対策について詳しく解説していきますから、ご安心くださいね。
3. 本当に会社に副業がバレる「仕組み」とは?マイナンバーは直接関係ない
マイナンバーが直接的な原因ではないと分かったところで、では一体何が原因で会社に副業がバレてしまうのでしょうか?ここが、副業を考える上で最も重要なポイントです。
会社に副業がバレる主な原因は、実はマイナンバーではなく、税金(特に住民税)の流れにあります。
【最大の原因】住民税の「特別徴収」
これが、副業が会社にバレる最も一般的な原因と言われています。
会社員の方の住民税は、通常、毎月の給与から天引きされていますよね。これを「特別徴収」と言います。市区町村は、あなたの所得(本業の給与所得や副業所得など全て)に基づいて住民税の額を計算し、その通知をあなたの会社に送ります。会社はその通知を見て、従業員の給与から住民税を天引きするわけです。
ここで問題が起こります。もしあなたが副業で所得を得ていると、本業の給与所得だけの人よりも住民税の額が増えますよね。会社は従業員の住民税の通知を受け取った際、「あれ?この人の住民税額、他の従業員や給与額の割には少し高いな…」と気づく可能性があります。
特に、あなたの会社が「給与所得しかない従業員」の住民税額を把握している場合、住民税額の不自然な増額が「副業所得があるのでは?」という疑念につながってしまうわけです。これが、副業が会社にバレる最も大きな仕組みです。
住民税についてもっと詳しく知りたい方へ
副業で20万円以下の所得がある場合でも住民税の申告は必要です。住民税の仕組みと、会社にバレないための対策については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
【知らないと損】副業20万円以下で住民税を申告しないとどうなる?バレる仕組みと会社にバレない対策を徹底解説
確定申告による情報連携(間接的な原因)
副業による所得が年間20万円を超えた場合、あなたは自分で確定申告をする必要があります。確定申告をすると、その情報(あなたの総所得)は税務署から市区町村に共有されます。そして、この情報に基づいて市区町村が住民税額を計算し、その結果が会社に送られる、という流れになります。
つまり、確定申告そのものが会社に副業をバラすわけではなく、確定申告によって計算された住民税額が特別徴収を通じて会社に伝わる、という点で間接的に関係しているのです。
うっかり話してしまう
これは「バレる仕組み」というより「バレるきっかけ」ですね。
「実は今、副業でWebライターやっててさ~」なんて、ついうっかり同僚や飲み会で話してしまい、それが広まって会社の人事担当者の耳に入る、というケースは意外と少なくありません。
親しい同僚だと思っていても、どこからどう情報が漏れるか分かりません。特に、会社の就業規則で副業が禁止されている場合などは、くれぐれも注意が必要です。
SNSでの発信
最近増えているのが、SNSが原因で副業がバレるケースです。
例えば、
- 副業で始めたお店の情報をSNSで発信していたら、会社の同僚が見つけてしまった。
- 副業の内容をブログやX(旧Twitter)で書いていたら、会社の人が特定してしまった。
といった事例です。
実名を出していなくても、投稿内容や写真、行動範囲などから個人を特定されてしまうことはよくあります。副業関連の情報をSNSで発信する際は、匿名性が本当に保たれているか、細心の注意を払いましょう。
同業者や顧客からの情報
副業の内容によっては、本業の会社と関連のある取引先や顧客、あるいは同業者が、あなたの副業を知ってしまうことがあります。
例えば、本業で営業をしている人が、副業でも同じ業界で活動していた場合、たまたま取引先で顔を合わせたり、噂が広まったりして、会社にバレてしまう可能性もゼロではありません。
年末調整の兼業先からの収入申告
会社員で複数の会社から給与所得がある場合、本業の会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。この申告書には、主たる給与の支払い先(本業の会社)を記載しますが、他の会社からの給与がある場合は、それを年末調整で合算して申告する必要があります。
この場合、本業の会社があなたの全ての給与所得を知ることになるため、副業が「給与所得」である場合は、必然的にバレる可能性が高くなります。
4. 副業がバレるリスクを減らすための対策
副業が会社にバレる主な原因が分かったところで、具体的な対策を見ていきましょう。最も効果的なのは、やはり税金対策です。
住民税の「普通徴収」への切り替え(最も重要!)
これが、副業が会社にバレるリスクを最も低減させる方法です。
確定申告をする際に、住民税の納付方法を「特別徴収(給与から天引き)」ではなく、「普通徴収(自分で納付)」に切り替える選択肢があります。
普通徴収を選択すると、副業で得た所得にかかる住民税の納税通知書が、あなたの自宅に直接送られてきます。そして、あなたは自分で銀行やコンビニなどで住民税を納付することになります。これなら、会社には副業分の住民税額が通知されないため、会社があなたの住民税額の増額に気づくことはありません。
ただし、一部の市区町村では、制度上、給与所得以外の所得についても普通徴収に対応していない場合があります。念のため、お住まいの市区町村役場の税務課に確認してみることをお勧めします。
副業所得20万円以下でも住民税の申告は必要
よくある誤解として、「副業所得が20万円以下なら確定申告は不要だから、何もしなくていい」というものがあります。
所得税に関してはその通りですが、住民税については、所得の金額に関わらず申告が必要です。所得が1円でもあれば、住民税の課税対象になるからです。
住民税の申告を怠ると、延滞税などのペナルティが課せられる可能性がありますし、会社に副業がバレるリスクも高まります。確定申告が不要な場合でも、必ず市区町村役場で住民税の申告を行い、その際に「普通徴収」を選択しましょう。
会社にバレにくい副業を選ぶ
副業の種類自体も、バレやすさに影響します。
- 匿名性が高い副業: Webライター、データ入力、プログラミング(クラウドソーシング経由)、ブログ運営など、オンラインで完結し、実名や顔を出さずにできる副業は、比較的バレにくいと言えます。
- 現金手渡しで源泉徴収がない副業: 例えば、イベントスタッフなど。ただし、これも所得が発生すれば住民税の申告は必要です。
- 本業と全く関係ない分野の副業: 本業の取引先や顧客と接触する可能性が低いもの。
逆に、アルバイトのように「給与所得」になる副業は、年末調整や住民税の特別徴収を通じて会社にバレる可能性が非常に高いため、避けた方が無難です。
手渡しの副業でなぜバレてしまうのかについては、以下にまとめました。
個人経営の副業バイトは手渡しがバレない?探し方から税金の注意点まで徹底解説
情報管理の徹底
- SNSでの発信に細心の注意を払う:
- 本名を出さない、顔出しをしないのはもちろんのこと。
- 会社や自宅の場所、職種が特定できるような情報を書かない。
- 会社の同僚や上司とSNSで繋がらない。
- 副業アカウントとプライベートアカウントを分ける(完全に別管理にする)。
- 会社の同僚や友人には話さない: 親しい間柄でも、情報の拡散は避けられません。「秘密ね」と言っても、どこかで漏れてしまうリスクは常にあります。
- 会社のPCやスマホで副業活動をしない: 業務中に副業をしていると、情報漏洩や会社のIT環境へのリスクにもなりかねません。
会社の就業規則を確認する
最も根本的な対策は、あなたの会社の就業規則を確認することです。
- 副業が完全に禁止されているのか?
- 事前に会社への届け出が必要なのか?
- 一部許可されている副業(資産運用など)があるのか?
もし会社が副業を全面的に禁止している場合、バレてしまった際のリスクは大きいです。規則に違反して副業を行うことは、最悪の場合、懲戒処分や解雇につながる可能性もゼロではありません。
最近では、政府が副業・兼業を促進していることもあり、副業を解禁する企業が増えています。もし副業が認められているなら、会社の規定に則って、事前に届け出を出すのが最も安心で確実な方法です。
5. 具体的な事例:こんな時、副業はどうなる?
いくつかの具体的なケースで、副業と税金、そして会社バレのリスクについて考えてみましょう。
事例1:フリマアプリで不用品を売った場合
Q. 自宅にある読み終わった本や着なくなった洋服をメルカリで売ってお小遣い稼ぎをしました。これって副業になりますか?マイナンバーで会社にバレますか?
A. 基本的に、「生活用品の不用品売却」は所得税や住民税の課税対象にはなりません。
これは、所得税法で「生活用動産の譲渡による所得」は非課税とされているためです。
ただし、購入時よりも高値で売却した場合や、継続的に商品を仕入れて販売している場合は、営利目的とみなされ、課税対象となる可能性があります。
不用品を売却しただけなら、所得税も住民税も発生しないため、確定申告も住民税申告も不要です。したがって、マイナンバーを通じて会社に情報が伝わることもありませんし、住民税額に変化もないため、バレる心配はほとんどないでしょう。ご安心くださいね。
事例2:ブログで月に数万円稼いだ場合
Q. 趣味でブログを書いていたら、アフィリエイト収入が月に3万円くらい入るようになりました。年間36万円くらいですが、会社にバレますか?
A. このケースでは、副業が会社にバレるリスクがあります。
アフィリエイト収入は「事業所得」または「雑所得」に分類されます。年間36万円ということは、所得税の確定申告が必要な「20万円超」の所得に該当します。
確定申告を行う際に、必ず住民税の納付方法を「普通徴収」に選択してください。もし特別徴収のままにしてしまうと、住民税額の増額によって会社にバレる可能性が高まります。
また、年間所得が20万円以下だったとしても、住民税の申告は必要です。その際も普通徴収を選びましょう。
ブログの内容も重要です。会社名や個人が特定されるような情報を書かない、同僚には教えないなどの情報管理も徹底してください。
事例3:クラウドソーシングでシステム開発を請け負った場合
Q. クラウドソーシングで月に10万円ほどのシステム開発案件を受注しています。これは副業になりますか?
A. はい、これは立派な副業であり、所得税・住民税の課税対象となります。
年間120万円(月に10万円×12ヶ月)の収入の場合、経費を差し引いた所得が20万円を超えていれば確定申告が必要です。
これも「事業所得」または「雑所得」に分類されます。
対策は事例2と同様です。
- 確定申告を忘れずに行う。
- 確定申告の際に、住民税の納付方法を「普通徴収」に選択する。
- 副業の内容が本業と競合しないか、会社の就業規則を確認する。
- 案件を受ける際、本業の会社名を明かさない、名刺を使わないなど、情報管理を徹底する。
記事の要点
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
最後に、この記事で最もお伝えしたかった要点を3つのポイントにまとめます。
まとめ:マイナンバーについて不安を解消して、安心して副業の一歩を踏み出そう
多くの方が抱えていた「マイナンバー」への漠然とした不安は、少しは解消されたでしょうか?マイナンバーは決して副業を監視するためのツールではなく、正しく理解すれば必要以上に恐れることはありません。
大切なのは、副業が会社にバレる本当の仕組み、つまり「住民税の流れ」を理解し、適切な対策を講じることです。特に、住民税の「普通徴収」への切り替えは、副業を考えている方にとって必須の知識と言えるでしょう。
副業は、あなたの人生をより豊かにする可能性を秘めています。新しいスキルを身につけたり、収入の柱を増やしたり、やりたいことに挑戦したり…その可能性は無限大です。
不安な気持ちから一歩踏み出せずにいた方も、この記事が、あなたの背中をそっと押すきっかけになれば嬉しいです。正しい知識を身につけて、安心して、あなたの新しい一歩を踏み出してくださいね。応援しています!