個人事業主のあなたへ。副業、何から始めるか迷っていませんか?そんなときはやることリストを活用しよう
すでに個人事業主として活動しているあなたが、さらなる収益の柱を立てるために「副業」を検討するのは、非常に賢明な判断です。
しかし、いざ始めようとすると、「あれ、手続きって何か必要だっけ?」「本業の確定申告はどう変わるの?」「何から手をつければいいんだ?」といった疑問や不安が次々と浮かんでくるのではないでしょうか。
ご安心ください。この記事では、そんなあなたのための「やることリスト」を、準備から税金の手続き、日々の運営まで、ステップバイステップで徹底的に解説します。
この記事を最後まで読めば、副業を始めるための具体的な道筋が明確になり、自信を持って第一歩を踏み出せるようになります。
やることリストの全体像
本記事で解説する「やることリスト」は、大きく5つのステップに分かれています。まずは全体像を掴み、どの段階に何が必要なのかをイメージしましょう。
- 準備編:副業成功の土台を作る
- 手続き編:税務・法務の抜け漏れを防ぐ
- 実務編:お金と時間を効率的に管理する
- 開始後編:収益を安定させる
- 確定申告編:慌てず正確に申告する
それでは、早速STEP1から見ていきましょう。
【STEP1:準備編】副業を成功させる土台作りのやることリスト
何事も最初が肝心です。勢いで見切り発車するのではなく、まずは副業を成功させるための土台をしっかりと作りましょう。
副業の目的と目標設定を明確にする
なぜ副業を始めるのか、その目的をはっきりさせましょう。
「月5万円の収入アップ」や「新しいスキルを習得したい」、「将来の独立に向けた布石」など、目的によって選ぶべき副業や力の入れ具合が変わってきます。
いきなり大きな目標を立てるのが難しければ、例えば在宅でコツコツ毎日3000円稼ぐといった、スモールスタートを意識するのも良いでしょう。
具体的な金額や期限を設定すると、モチベーションを維持しやすくなります。
本業とのシナジーを考える
あなたの本業のスキルや知識、人脈を活かせる副業を選べば、ゼロから始めるよりも圧倒的に有利です。
例えば、WebデザイナーがWebライティングを、コンサルタントがオンラインセミナーを開催するなど、本業との相乗効果が期待できる副業を検討してみましょう。
事業計画を立てる
壮大な計画書は不要ですが、「誰に」「何を」「いくらで」提供するのか、簡単な事業計画を立てておきましょう。
これにより、提供するサービスの価値が明確になり、価格設定や集客方法の検討に役立ちます。
時間管理計画を立てる
個人事業主の副業で最も重要なのが時間管理です。本業に支障をきたさないよう、1週間のうち、どの曜日・時間帯に副業の時間を充てるのか、あらかじめ計画しておきましょう。
無理のない計画を立てることが、継続の秘訣です。
【STEP2:手続き編】知らないと損する!税務・法務のやることリスト
「手続きは面倒」と感じるかもしれませんが、ここを疎かにすると後で大きなトラブルにつながる可能性があります。ポイントを押さえて、サクッと終わらせましょう。
開業届は必要?―基本は不要、提出するケースを解説
すでに個人事業主としての開業届を提出している場合、新たな副業のために追加で開業届を出す必要は基本的にありません。
ただし、本業とは全く異なる事業を始め、屋号を使い分けたい場合などには、新たに提出を検討してもよいでしょう。
副業の所得は「事業所得」or「雑所得」?違いと判断基準
副業で得た所得は、その性質によって「事業所得」または「雑所得」に分類されます。
継続的・安定的に収益を上げ、ある程度の時間と労力をかけている場合は「事業所得」、お小遣い稼ぎのような単発・臨時的な収入であれば「雑所得」と判断されるのが一般的です。
事業所得の場合、赤字を本業の利益と相殺できる「損益通算」が使えるメリットがあります。
青色申告の届け出を確認・検討する
すでに本業で青色申告をしている場合、副業の所得も合算して青色申告を行います。
もし、まだ白色申告なのであれば、この機会に青色申告への切り替えを強くおすすめします。最大65万円の特別控除など、大きな節税メリットがあります。
必要な許認可をチェックする
副業の内容によっては、国や自治体からの許認可が必要な場合があります。
例えば、中古品を仕入れて販売するなら「古物商許可」、手作りのお菓子を販売するなら「菓子製造業許可」などが必要です。
自分の始める副業に許認可が必要かどうか、必ず事前に確認しましょう。
インボイス登録は必要か判断する
2023年10月から始まったインボイス制度。あなたの副業の取引先が課税事業者で、インボイス(適格請求書)の発行を求められる可能性がある場合は、登録を検討する必要があります。
取引先が一般の消費者や免税事業者の場合は、急いで登録する必要性は低いでしょう。
【STEP3:実務編】お金と時間の管理を効率化する、やることリスト
副業をスムーズに運営するためには、お金と時間の管理体制を整えることが不可欠です。便利なツールも活用しながら、効率的な仕組みを作りましょう。
事業用の銀行口座とクレジットカードを用意する
本業で使っているものとは別に、副業専用の銀行口座とクレジットカードを用意することを強く推奨します。
プライベートのお金の流れと事業のお金の流れを分けることで、確定申告の際の仕訳作業が劇的に楽になります。「屋号付き口座」を開設すれば、取引先からの信頼度アップにもつながります。
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会計ソフトを導入・設定する
本業と副業の収支を一元管理するために、クラウド会計ソフトの導入はもはや必須です。
銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引データが自動で取り込まれ、日々の記帳の手間を大幅に削減できます。青色申告も簡単に行えるようになります。
請求書や契約書のテンプレートを準備する
仕事を受注する際に必要となる請求書や契約書のテンプレートを、あらかじめ用意しておきましょう。
クラウド会計ソフトに付属している請求書作成機能を使ったり、Web上のテンプレートを活用したりすると効率的です。
仕事用の連絡先を確保する
プライベートのメールアドレスや電話番号とは別に、副業用の連絡先(メールアドレス、チャットツールのアカウントなど)を準備しておきましょう。
公私を分けることで、情報の整理がしやすくなり、連絡の見落としなどのミスを防げます。
【STEP4:開始後編】継続的に収益を上げるための、やることリスト
準備が整ったら、いよいよ本格始動です。継続して収益を上げていくために、以下のことを意識して行動しましょう。
集客・営業活動を行う
どんなに良いサービスも、知ってもらえなければ仕事にはつながりません。
SNSでの発信、ブログでの情報発信、スキルマーケットへの登録、交流会への参加など、自分の副業に合った方法で集客・営業活動を行いましょう。
日々の経費や売上を記帳する
会計ソフトを活用し、売上が発生したり、経費を使ったりしたら、こまめに記帳する習慣をつけましょう。
「月末にまとめて…」と考えていると、記憶が曖昧になったり、領収書の整理が大変になったりします。日々の少しの手間が、確定申告期の自分を助けます。
定期的に計画を見直す
最初に立てた事業計画や目標を、定期的に見直しましょう。
「思ったように収益が上がらない」「時間が足りない」といった問題点が見つかったら、サービスの価格や内容、時間の使い方などを柔軟に修正していくことが成功への近道です。
【確定申告編】慌てないための、やることリスト
年に一度の確定申告。副業を始めたことで、申告内容も少し変わります。直前で慌てないために、ポイントをしっかり押さえておきましょう。
本業と副業の収支を合算して申告する
確定申告では、本業の所得と副業の所得(事業所得または雑所得)を合算して、全体の所得を計算し、納税額を算出します。
副業分だけを分けて申告することはないので注意しましょう。
経費の按分(家事按分)を正しく行う
自宅で仕事をしている場合、家賃や水道光熱費、通信費などの一部を「家事按分」として経費に計上できます。
仕事で使用している面積や時間など、合理的な基準で按分し、説明できるようにしておきましょう。
損益通算で節税する(副業が赤字の場合)
副業が「事業所得」に分類され、赤字になってしまった場合、その赤字を本業の黒字と相殺(損益通算)できます。
これにより、全体の所得が圧縮され、納める税金を減らすことができます。これは事業所得ならではの大きなメリットです。
まとめ:やることリストを確実にこなし、個人事業主の副業を成功させよう
本記事では、個人事業主が副業を始める際の「やることリスト」を、準備から確定申告まで5つのステップに分けて解説しました。
たくさんの項目があり、少し圧倒されてしまったかもしれませんが、一つひとつは決して難しいものではありません。
このリストに沿って着実に行動すれば、誰でもスムーズに副業をスタートし、軌道に乗せることができます。
重要なのは、事前の準備と計画、そして継続的な改善です。副業は、あなたの収入を増やし、スキルを広げ、人生の可能性を豊かにする素晴らしい挑戦です。
ぜひ、このやることリストを活用して、成功への第一歩を踏み出してください。